清光堂

2023/01/27 21:00

日本の伝統工芸品として海外でも人気が高まっている南部鉄器や山形鋳物。


中国や台湾などの古くからお茶を楽しむ国はもちろん、フランスやシンガポール、タイの高級ホテルなどでも見かける機会が増えています。


今回はそんな南部鉄器と山形鋳物について、それぞれの違いを項目別に解説していきます。


山形鋳物と南部鉄器の違い


ここからは山形鋳物と南部鉄器の違いについて、項目別に解説していきます。


産地


南部鉄器は岩手県の盛岡を中心に発達し、今でも制作が続けられています。 


一方、山形鋳物は、その名の通り山形県で制作されています。


歴史・成り立ち

山形鋳物の始まりは平安後期。


源頼義の軍と共に山形市に来た鋳物職人が、市内を流れる馬見ヶ崎川の砂や周辺の土質が鋳物の型に適していると発見、のちに数人の職人がこの地に残ったことが始まりと言われています。


南部鉄器の歴史と山形鋳物の歴史は殆ど同じです。南部鉄器の知名度を上げたのは行政が力を入れ宣伝した結果です。上海万博の折、南部鉄器の行政の方が鉄瓶を持ち込み、かなりの数の受注を受け、各工房に振り分け潤ったと聞いています。



デザインや内部の仕様

南部鉄器の鉄瓶の蓋は基本的に共蓋(鉄蓋)。色味も全体的に黒色が多く素朴な感じです。


外部は吹き付け着色、内部はホーロー加工、シリコン加工で、低い温度で仕上げていますので鉄分の補給は期待できません。


最近はカラフルな色の鉄瓶がありますが、製造は機械つくりで量産していますが、安価で求めやすい利点があります。


製造工程



製造工程は 「 機械つくり:量産」と「手造り:一品作」で大きく違います。

           

ちなみに清光堂はすべて手造りです。


鉄瓶の大きさや形状に合わせて鉄瓶口を砂と粘土で造り、炭火で焼き、乾燥。鉄瓶鋳型を引き、鉄瓶口を埋め込み、文様押し・肌打ちをし、鋳型を完成します。


中子をセットし、鉄瓶底から注湯し鋳放し、状態の鉄瓶が出来上がります。


電気炉で800~900度で真っ赤に焼き、酸化被膜をつくりサビ防止、水漏れ防止を行い、本漆で焼き付け着色をし完成になります。



原材料


原材料は南部鉄器も山形鋳物も銑鉄または砂鉄銑となっています。



使い方



清光堂の鉄瓶は本来の本漆焼き付け着色を施していますので、使い初め、煮込む必要があります。


少々手間がかかりますが、煮込むのも楽しいものです。

機械造りの量産品は安価に上げるため、ホーロー・シリコン加工を施しており、煮込む必要はありません。


ただ、手造りの鉄瓶は内部の錆が溶け出して鉄分豊富なお湯になりますが、ホーロー・シリコン加工の鉄瓶は錆びないため鉄分の補給は望めません。


山形鋳物が持つ特有の良さ


薄肉美麗と称される山形鋳物は、漆の焼き付け着色による鋳肌の美しさと肉厚の薄さが特徴とされています。


清光堂の山形鋳物



清光堂ではデザイン、製造、販売までの一連を手掛け、すべてが手づくりで目が行き届く規模感で納得のいくものづくりを心がけています。


その後、山形では清光堂が一番早く上海に出向き山形鉄瓶を広め今日に至っています。


清光堂では日本を代表する茶道で重要な道具の一つである茶の湯釜の高度な技法を生かし、鉄瓶の一品に魂を込め製作しています。


外側は伝統技術の砂肌を用い、内側は古来よりの本漆の焼き付け着色をしています。鉄鋳物の鉄瓶は保温性が高く、鉄分を含んだ甘みのある美味しいお湯をいただけるのが最大の特長であり、健康上大きくプラスされます。


酒器の燗鍋(銚子)も同様で、直火で沸かすことができる唯一の鉄製銚子です。


燗鍋は茶道の懐石料理で使用される道具の一つです。


燗鍋に日本酒を入れただけでお酒が美味しくなります。冷酒でいただく場合は本体ごと冷蔵庫に入れ、保冷性を生かしいつまでも美味しくいただけます。


まとめ


50年前頃、南部鉄器組合と山形鋳物組合があり、お互い往来し技術の交換など交流があったと聞いています。

現在は伝統工芸後継者が激減し、交流も途絶えてしまいました。